[松坂家] 松坂さとう : ここは、あるマンションの一室。
[松坂家] 松坂さとう : 松坂さとうという少女が"独り暮らし"をしている……というていで、叔母から借りている部屋だ。
[松坂家] 松坂さとう : 内装は、少女が住んでいるというのにも関わらず質素な造りとなっており。
[松坂家] 松坂さとう : 特にこれと言って特色のあるものはない。
[松坂家] 松坂さとう : いや……。
[松坂家] 松坂さとう : "少女らしくない部屋"という、異質がその部屋内には、存在した。
[松坂家] 松坂さとう : そして、よく目を凝らすと。
[松坂家] 松坂さとう : この部屋の、ある扉にだけ……。
[松坂家] 松坂さとう : 頑丈な鍵が───────。
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] 松坂さとう : ガチャッ。
[松坂家] 松坂さとう : 玄関の扉が開く。
[松坂家] 松坂さとう : 「ふぅ……ただいま~」
[松坂家] 松坂さとう : 誰もいないということになっている部屋に、声を掛ける少女……松坂さとう。
[松坂家] 松坂さとう : バイト帰りということもあり、少し疲労が見える。
[松坂家] : トトトトト…
[松坂家] 神戸しお : 「おかえりー!さとうちゃんー!!」
[松坂家] 神戸しお : 部屋の奥から、ここにはいないはずの、小さな小さな女の子が、さとうのもとへ走ってくる。
[松坂家] 松坂さとう : 「ふふふ♪ただいましおちゃん~!」
[松坂家] 松坂さとう : 玄関を閉じ、鍵を締めた後に、しおを抱き締め受け止める。
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] 松坂さとう : ……………。
[松坂家] 松坂さとう : 外の世界は、なんて汚いんだろう。
[松坂家] 松坂さとう : 苦いものばかり。
[松坂家] 松坂さとう : 見たくないものばかり。
[松坂家] 松坂さとう : 表面ばかり見繕って
[松坂家] 松坂さとう : 中身は、ドロドロ。
[松坂家] 松坂さとう : 辟易する。
[松坂家] 松坂さとう : 苦い……
[松坂家] 松坂さとう : 苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い苦い……。
[松坂家] 松坂さとう : ……こんな世界にも、私だけの光が、ここにある。
[松坂家] 神戸しお : 「えへへへ~!」
[松坂家] 松坂さとう : ああ………。
[松坂家] 松坂さとう : なんて無垢で……。
[松坂家] 松坂さとう : なんて綺麗な瞳で……。
[松坂家] 松坂さとう : なんて、甘い存在なんだろう……。
[松坂家] 松坂さとう : この時だけ私は、外の世界を全部忘れることができる……。
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] 神戸しお : 「すぅ……すぅ……。」
[松坂家] 松坂さとう : 時刻は0時。
[松坂家] 松坂さとう : 晩御飯に風呂を済ませ、しおを寝かし、さとうはというと─────。
[松坂家] 松坂さとう : リビングで、端末の"ある情報"を見て……。
[松坂家] 松坂さとう : 「……………………。」
[松坂家] 松坂さとう : 私だけの、甘い空間、夢のような一時。
[松坂家] 松坂さとう : 誰にも邪魔は、させない。
[松坂家] 松坂さとう : ……。
[松坂家] 松坂さとう : 「私は………」
[松坂家] 松坂さとう : ………この戦いに勝って。
[松坂家] 松坂さとう : 私だけの、"ハッピーシュガーライフ"を─────────。
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] バーサーカー : 「ミス・さとう」
[松坂家] バーサーカー : 「とっておきの情報だぜェ……?」
[松坂家] 松坂さとう : 「……来ましたか、バーサーカー」
[松坂家] 松坂さとう : 暗い一室。
[松坂家] 松坂さとう : 満月の光が窓から差し込まれた、その部屋にて現れた……"巨体"。
[松坂家] 松坂さとう : そして、"バーサーカー"より受け取ったその情報を一読。
[松坂家] 松坂さとう : 「……へぇ、なるほど……"優勝候補"のサーヴァントの真名はこれですか……」
[松坂家] 松坂さとう : 「そうなれば………ふふ」
[松坂家] 松坂さとう : 「対処は容易いですね」
[松坂家] バーサーカー : 「クククク……!!」
[松坂家] バーサーカー : 「マスター……とっとと俺に教えてくれよ……」
[松坂家] バーサーカー : 「"敗北"ってやつをよォ……!!」
[松坂家] 松坂さとう : 「……………。」
[松坂家] 松坂さとう : ……はぁ。困ったものです。
[松坂家] 松坂さとう : 私としましては……ゆっくりと戦況を見てから動きたかったのですが……。
[松坂家] 松坂さとう : ……とんだハズレを引いてしまいましたね。
[松坂家] 松坂さとう : ………"狂戦士"とあれば……もう……制御は、不能。
[松坂家] 松坂さとう : 「……優勝候補を叩く方向から、行きましょうか」
[松坂家] バーサーカー : 「ククク……!!クカカカカカカカカ!!!!」
[松坂家] バーサーカー : 影が、その巨体の顔を隠し。
[松坂家] バーサーカー : そして、その満月の光が、徐々に、時と共に動き。
[松坂家] バーサーカー : その顔が、映し出される────────。
[松坂家] バーサーカー : 「ンフフフフフフフフフッッ……!!!!」
[松坂家] 松坂さとう : ………苦い。
[松坂家] 松坂さとう : なんて苦いんだろう。
[松坂家] 松坂さとう : この世の"凶悪さ"を詰め込んだような、そんな存在……。
[松坂家] 松坂さとう : この戦いが終われば、とっとと切り捨ててしまいましょう。
[松坂家] 松坂さとう : 「……ですがバーサーカー」
[松坂家] 松坂さとう : 「"管理者"が、キャスター陣営によって壊滅させられたことは、ご存じですよね」
[松坂家] バーサーカー : 巨漢は、ニヤリと笑う。
[松坂家] バーサーカー : 「喰らい甲斐がありそうだぜ……」
[松坂家] バーサーカー : 「お~~~っと、嬢ちゃん」
[松坂家] バーサーカー : 「アンタの言いたいことは、俺にはお見通しだぜェ……?」
[松坂家] バーサーカー : 「んなことは理解(わか)ってんだよッッ!!ハハハハハハハッッ!!!」
[松坂家] バーサーカー : 「俺も真正面からぶつかろうとは思っちゃいねェさッッ!!!」
[松坂家] 松坂さとう : ………。
[松坂家] 松坂さとう : うわ、唾が飛んだ……。
[松坂家] 松坂さとう : 「……ええ、分かっているのであれば、十分です。」
[松坂家] 松坂さとう : 「……これより他陣営と接触……同盟を結びたいと思います」
[松坂家] バーサーカー : ニヤリと笑う。
[松坂家] バーサーカー : 「賢い嬢ちゃんは、嫌いじゃねェぜェ」
[松坂家] バーサーカー : 「その顔だけは気に食わねェけどなァッ!!ハハハハハハハハハッッッ!!!」
[松坂家] バーサーカー : 狂笑の中、巨漢は霊体化し、消えた。
[松坂家] 松坂さとう : 「…………ふぅ。」
[松坂家] 松坂さとう : 「さて……向かいましょうか」
[松坂家] 松坂さとう : 「行ってくるね、しおちゃん」
[松坂家] 松坂さとう : そうしてさとうは、シュガールームから、戦地……いや、地獄へ、踏み出した。
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] バーサーカー : 「ン~~~~フ~~~~フ~~~~♪」
[松坂家] バーサーカー : 夜の公園を上機嫌な鼻歌を奏でながら歩く、巨漢。
[松坂家] バーサーカー : 先の戦いにて、真の強者との戦いに血が滾っていた。
[松坂家] 松坂さとう : 「……バーサーカー」
[松坂家] バーサーカー : 「……ン~~~~~~~?おんやぁこれはこれは、マスター、ンフフフフフフ~~~」
[松坂家] 松坂さとう : 電灯の明るいステージへ、少女が一歩踏み出し、その姿を露わにする。
[松坂家] 松坂さとう : 「……勝手な行動を……」
[松坂家] 松坂さとう : 「……いえ……でもこれは……」
[松坂家] 松坂さとう : 「利害が一致しております」
[松坂家] 松坂さとう : 「私は………」
[松坂家] 松坂さとう : ──────勝ち残ってほしい人がいるから。
[松坂家] バーサーカー : 「ンフフフフフフ……」
[松坂家] バーサーカー : ────────"敗北"を知りたいから。
[松坂家] 松坂さとう : ニコ、と笑い。
[松坂家] 松坂さとう : 「……最後に……盛大な、大きな花火……打ち上げましょうか」
[松坂家] バーサーカー : 「……………」
[松坂家] バーサーカー : 「ブハハハハハハハハハハハハハハハハハッッッッ!!!!!」
[松坂家] バーサーカー : 「最ッ高だアンタァッッ!!!!」
[松坂家] バーサーカー : 「俺はそれを待っていたッッッ!!!!」
[松坂家] バーサーカー : 「─────アンタがマスターで良かったぜェ~~~~~~?」
[松坂家] 松坂さとう : 「……………」
[松坂家] 松坂さとう : 返さず、踵を返す。
[松坂家] 松坂さとう : ……甘いも、苦いも、これで、最後。
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] 松坂さとう :
[松坂家] : その種が落ちる。
[松坂家] : その行く末は、二人の少女へと。
[松坂家] : ………『ハッピーシュガーライフ』のエゴを果たす道を開かんと。
[松坂家] :
[松坂家] :
[松坂家] :